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2010年11月 7日 (日)

トークイベント

 ブックスひろしま2010が開幕しましたね。おなじみの一箱古本市がメーンの催しですが、今回はトークイベントが異常に豪華。まず土曜は3本、まずフォントデザイナーの鳥海修さん、そしてライターの南陀楼綾繁さんとnanakikaeさんの対談、最後にライターの岡崎武志さん。すべて満喫してきましたhappy01

 鳥海修さんは、Macユーザーであればおなじみのフォント、ヒラギノシリーズほか40以上の書体開発に携わってこられたフォントデザイナー。

 私も毎日使っているヒラギノ。たとえばヒラギノ明朝W3というフォントは漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、記号計約20,300字で構成されているそうです。これをすべてデザインする仕事とは大変にもほどがあります。

 フォントの歴史やご自身の経歴、鳥海さんにとってフォントデザイナーの先輩であり、スーボやスーシャなどのフォントを制作された鈴木勉さんやブックデザイナー平野甲賀さんらの思い出話の後、最後にデザインの実演をしてくださいましたが、フォントデザインという作業はパソコンで完結するのではなく、字のトレースや筆による縁取りと塗りなど、むしろ手作業が中心だったのはかなりの驚きでした。何度も繰り返される修正も、中心はあくまで手作業だそうです。当たり前のように使っているフォントが、すべて人の手によって作られたものであることを、恥ずかしながら初めて意識しました。

 質問もさせていただきました。20,300字もの作業、さすがに分業はされるとか。ですが、ひらかなについては、すべて一人でデザインすることが多いそうです。確かにひらかなは曲線が多く、制作者の感性が問われそう。納得です。また、漢字については同じ部首の字であっても、例えば「さんずい」のかたちはすべて同じではなく、字のバランスを考慮して基本的にすべて違うそうです。ひらがなといい、漢字といい、気の遠くなる作業とはこのことです。バランスがたまたま良く、同じ「さんずい」が使えたらラッキー、と笑う鳥海さんの笑顔がそれを象徴しているようでした。

 続いては、南陀楼綾繁さんとnanakikaeさんの対談。南陀楼綾繁さんは、現在、全国に広がりを見せている「一箱古本市」の仕掛人ともいうべき方で、本好きの間ではよく知られていますが、nanakikaeさんはどうでしょうか。私はツイッターで少しだけご縁があったものの広島在住の女子大学生ということ以外、何も知りませんでしたが、今回のトークを聞き、正直、衝撃でした。見た目は絵に描いたような文学少女、中身はすさまじい文学少女でした(失礼)。

 南陀楼さんの語りについては期待通り、期待以上だったので、ここではnanakikaeさんにふれますが、この方がさらっと語られたエピソードの一つが、あるとき模試で使われていた岡本かの子のマイナー短編にひかれ、それをすぐに図書館で借りて、パソコンに本文をすべて打ち込み、手作業で本にしたというもの。

 どうですか。まず岡本かの子のマイナー作品ということに気づける知識と経験、そして図書館にそれを借りに行き、コピーではなくパソコンで入力し、本に仕上げるという尻上がりの行動力がないとたどりつけない道のりです。本当の本好きにはかなわない、かなうはずない、と私は思いました。

 お二人のトークは「本づくりは楽しい」がテーマでした。南陀楼さんはミニコミづくり、nanakikaeさんは豆本づくりということで「本づくり」という接点があります。「(企画から製本まで)最初から最後まで自分でやる面白さ」(南陀楼さん)。「好きなことを全力でやる」(nanakikaeさん)。誰かのためにするのではなく、純粋に好きだからするという自然体が共通で、半端ではない本好きであることがびしびし伝わってきました。電子書籍の話題がにぎやかな今日ですが、自分の手で紙の本を作り上げる楽しさ、魅力は確かにあります。私もそれを感じていた時期がありますが、あらためて時間をつくって取り組もうかなと久しぶりに思いました。

 ラスト、岡崎武志さんのトークは軽妙のひとこと。本のことやったら24時間でも語る自信あるわぁ、とおっしゃる通り、お酒でも飲みながらいつまでも聞いていたい心地よさがあります。聞き手が、同じく軽快なトークで知られる(?)「ブックスひろしま2010」実行委員長(で良いのかな?)財津さんだったので余計にそうでした。

 岡崎さん、最近、蔵書の一部を泣く泣くお売りになったそうで、古書店としてはその話が興味深かったです。売る本を自分で選んでいては、これは売れない、これも売れないとなってしまうので、それは思い切って古書店に任せ、最後のチェックもしなかったとのこと。なかなかできないことです。侍のような潔さを感じました(笑)。

 もっとも、割り切ったつもりが、次の日は精神的におかしくなり(笑)電車の中で一つ大きなため息をついたら、隣の人が静かに席を離れていったそう。やはり、面白い方です。

 一転、最近面白かった本の紹介では、次々にメモを取ってしまうほど魅力的な本たちをおすすめいただきました。早速、いくつか買おうと思います。また、訳の分からない線引きや書き込みがある「とんでも本」をご持参。会場には私のほか計4店の古書店がおり、私も見ましたが、誰も理解できない不思議さで、さすがにいろいろな本をお持ちだなあ、と変に感心してしまいました。

 ちなみにブックオフを初めに「ブ」と略したのは岡崎さんだそうです。ブックオフ、ブックオフと何度も打ち込むのが面倒で、思い切って略したら広がったそう。私も「ブ」使おうと思います(笑)。

 ということで、トークは各1時間半でしたが、本当にあっという間に一日が過ぎてしまいました。当たり前ですが、世の中にはすごい人たちがいるもので、話を聞けば勉強になると同時に、大変刺激になります。非常に良い機会でしたhappy01

 また、会場で実行委員会の方々、参加者の方々に話しかけていただきました。ありがとうございました。本好きの交流、素晴らしいと思いました。これもなかなかない機会です。

 ところで、ある方に「古本屋さん…ですよね?」とお声をかけていただきました。うれしく、そして当たりですが、私、見た目で古本屋とわかってしまいます?sweat01若干ショックだったのはなぜでしょう(笑)。

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コメント

こんにちは(^-^)
「古本屋さん…ですよね?」と声をかけたマドレーヌです。初対面なのに、いろいろとお話させていただき、ありがとうございました。

>私、見た目で古本屋とわかってしまいます?若干ショックだったのはなぜでしょう(笑)。

いえ、見た目で古本屋さんとは、分からないと思います。
私だったら、分かりません。
実は私も中国新聞の「緑地帯」を読ませていただき、神鳥さんの顔写真を拝見しており、その後、パルコ前の古本市でも通りすがりで顔を拝見したので、分かったのです。
私も声のかけ方が、唐突でしたね。とっさのことで、失礼しました。
またどこかでお会いできたら、嬉しいです。
ありがとうございました。(^-^)

投稿: マドレーヌ | 2010年11月 8日 (月) 12時05分

マドレーヌさま、コメントありがとうございます。

なるほど!そうでしたか!ほっとしました(?)。

声をかけていただきありがとうございました。
お近くにお越しの際は店にもぜひお立ち寄りください!
またどこかでお会いできるのを楽しみにしています!

投稿: 神鳥大悟 | 2010年11月 8日 (月) 13時21分

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