« まとめ | トップページ | クモの巣 »

2006年7月28日 (金)

古本屋の娘

 熊野町は晴れ。店内の温度計は35.1℃を示しています。もしかすると当店は日本一暑い古本屋かもしれません。すみません。汗を拭くタオルが手放せません。

07280001 今日は「古本屋」が登場する小説を一つ。三島由紀夫『永すぎた春』です。主人公の一人として古本屋の娘、木田百子が登場します。物語は、百子とT大法学部の学生、宝部郁雄が、婚約してから晴れて結婚を迎えるまでの間に二人を襲う試練を乗り越えていく、というもの(乱暴ですみません)ですが、序盤に百子が古本の市に出るシーンがあります。百子は「店で扱っている本の名を、いつでもすっかりソラで言えた」ほどで、市でも無理に競りかけてくる顔見知りを「そんな馬鹿値をつけるもんじゃないわ。はじめてから出直さないと、承知しないわよ」と一喝するほどの力量の持ち主として描かれています。残念ながら百子が古本屋「雪重堂」の娘として活躍するシーンはここだけですが、私が親近感を覚えるには十分でした。しかも百子は「本郷界隈にはいろいろと新らしい喫茶店も店開きをし、(中略)垢ぬけのした女の子を置いている店もあったが、(中略)気品といい、美しさといい、何が何でも、雪重堂の娘の右に出る者はない(後略)」というのですから、興味をひかれます。こんな女性が実在したら、市などでさぞ目立つだろうなあと想像してしまいました。

|

« まとめ | トップページ | クモの巣 »

コメント

毎度!初めてブログ見せてもらったわ。大学以来、年賀状と、たまにメールだけの付き合いで10年。神鳥のシンプルな文章には、いつも感心しとります。学生時代はヘッセ、ヘミングウェイ、武者小路実篤、吉川英治、落合信彦、北方謙三などいろいろ暇にまかせて読んどりました。最近はというと、仕事関係の本をたまに読むだけです。神鳥に雑本を送ると言いながらはや2年。部屋の整理すら出来ずにいまだ送れず、、、情けない。本日もかなり暑くなりそうやけどボチボチやりまっさ!

投稿: 松坂 憲二 | 2006年7月29日 (土) 06時19分

コメントありがとう。意外と文学青年やったんやねえ。私よりよっぽど詳しいのでは? 店のブログといいながら日記のようなものだけど、また見に来てね。

投稿: 神鳥大悟 | 2006年7月29日 (土) 10時03分

意外とは失礼な!俺は小説で涙するピュアなおっさんやで。昔から本は大好きです。言葉ひとつで微妙にニュアンス変わるから日本語は楽しいというか難しい。漢字の使い方も著者の力量が問われるもんな。表現が風景、心理状態を上手く表現していると感動を覚える。逆にアホな文章読むと腹たってくる!

投稿: 松坂 憲二 | 2006年7月29日 (土) 21時27分

コメントありがとう。そして失礼しました。機会があれば一度あそびに来てね。

投稿: 神鳥大悟 | 2006年7月31日 (月) 23時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/45405/2837972

この記事へのトラックバック一覧です: 古本屋の娘:

« まとめ | トップページ | クモの巣 »